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【コラム】耕さない田んぼのポイント

 2017.12.10


「耕さない田んぼ」では、土を耕したり、稲の生長に必要な肥料を担っているのは田んぼに棲む生き物です。生き物を観察し、フィールドを用意することが私たちの役割です。

作物や田んぼの成り立ち、生きものの個性、適切な栽培法を知ることで田畑や自然との付き合い方が変わってきます。



 ◆冬期湛水不耕起移植栽培(とうきたんすいふこうきいしょくさいばい)とは

農業技術者の「岩澤信夫」が確立した稲作農法

岩澤信夫(1932- 2012)は、家業の農業に従事しスイカの早期栽培に成功した後、農家のコメづくりのための農業技術を研究。長年の試行錯誤の結果、耕さない田んぼで農薬も肥料も使わずに多収穫のイネを作ることに成功した。



3つのキーワード



  
1)冬期湛水=冬の田んぼに水を張る1)冬期湛水=冬の田んぼに水を張る(※南房総では12月下旬〜2月までに張り終える)


・微生物や藻が発生する→生き物のえさや住処ができる

・雑草の発芽条件である「光・水・酸素・温度」が揃わなくなる


2)不耕起=田んぼを耕さない

・生き物の住処を壊さない

・固い土をつくる


3)移植栽培=成苗を田んぼに移植する

・病気・害虫に強い身体を持つ稲に育つ

・多収穫につながる


耕していない固い土に丈夫な苗を植える○


・根にストレスがかかり太くなる

・自分の力で肥料分を求めて根を張っていき、たくましい稲に育っていく



丈夫な苗とはどんな苗か

◎イネの生理にあった5.5葉の苗(成苗)※手植えの時代に作られていた苗




○岩澤式・低温育苗の成苗
約50日という長い時間をかけて低温で管理し低くて太いしっかりとした苗に育てる。草丈が20cm以内で5.5葉を目標に育て、田んぼに移植。

○稚苗(ちびょう)
機械移植のための苗。葉の数が2.5枚の頃に田んぼに移植。




冬期湛水と不耕起で生き物のフィールドを用意し、耕していない固い土に丈夫な苗を植えることで肥料・農薬・除草剤を使わず稲が育ちます